理想的な朽ち果て方
今年48歳、寅年。
老後のことを具体的に考え出した。
今までも考えていたけど、具体的ではなかった。はりきゅうマッサージ師という職業柄、老人と接することも多い方だと思う。子供の頃はじいちゃん、ばあちゃんとも暮らしていた。
カラダが弱り、死んでいく。
そういうのを見たことはある。
それもあってか、年老いて、朽ちてゆく感じは分からなくはない。
だから自分の理想的な朽ち方をデザインしようと思った。
死にそうになってからではデザインできない。今からだ。
絵心もないしデザイナーでもないので人の作品、人生の先輩をパクることにした。
二丁目のサニーさん
この人の死に際が理想的だ。
どんな人かって、私も知らない。
2回くらい顔を見たことがある程度。
新宿二丁目のレズバーの走り。飲み屋をやっていたレズなのかオナベなのか?性別不明の酔っ払いの、見た目オッサン。
ゲイバーは山ほどあるけど、レズバーは少ない。20年前のレズバーは10件程度しかないので店の名前も店長の名前もみんな知ってた。記憶があやふやなので10店もなかったかもしれない。
そんな中、複数の店をやってたのがサニーさん。3〜5店舗。たぶん5店舗くらいやってて、年取って縮小化して2か3店舗になった感じ。(あやふや情報)
私のサニーさん情報は現役でバリバリ接客していた頃ではなく、もうヨボヨボし始めて、あまり店に立たなくなった時のこと。
店は店長が切り盛りしていた。
元気な女の子が2〜3人働くバーで、感じがいいし、値段も手頃なので私も仕事帰りに行くようになった。
そこで1ヶ月の売上の10万円だけはサニーさんの口座に振り込んでいて、後は好きなようにやってると聞いた。
そして古株の店長や元従業員はサニーさんのマンションに行って、交代で寝泊まりして、サニーさんの面倒を見ていた。
サニーさんのマンションが二丁目にあったから、酔っ払い仕事には都合がよかったのかもしれない。
そんな人たちからサニーさんのめちゃくちゃな行動をよく聞いた。
50万もするスーツをAmazonでポチって、それを返品するのが大変だったとか、買い物に行くのに付き合わされたとか、そんな話。
みんな文句を言ってたけど、サニーさんから離れなかった。遺産を狙っていた?と勘繰るけど、その遺産だって古いマンションやボロボロのレズバーくらいだと思う。
家族として、新宿二丁目で働く人の受け皿として大切にされていたんだろうなって気がする。
そんなサニーさんみたいになりたいと48歳は思うし、ちょっと覚悟して理想の朽ち果て道を歩くことにする。
コロナのマイナスを秋までに取り戻すぞ。そして来年は人を雇う。